- 2025年11月16日
体重減少効果のある糖尿病薬:SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害薬(腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑制、尿糖排泄を促進する作用:フォシーガ®、ジャディアンス®など)
2014年に糖尿病薬として発売された当初SGLT2阻害薬は、循環器内科医の私としては、やや冷めた目で見ていました。なぜなら過去の糖尿病薬は、心血管疾患などのリスクを下げる効果がなかったためです。
ところが、SGLT2阻害薬は臨床試験の結果にて、心血管死、非致死性心筋梗塞・脳卒中および心不全入院を有意に低下させるという結果がでました。これは衝撃的な発表でした。しかもその具体的な機序は不明。血糖降下の程度とは相関しないことがわかっています。
つまり糖尿病じゃない方にも、心不全治療薬として使用できるという事です。現在フォシーガとジャディアンスの2つの薬が心不全ガイドラインにて、使用することが推奨されています。
しかもこの薬、腎保護効果についても良い臨床試験の結果がでています。そのため当院では、糖尿病・心不全・腎不全のいずれかを認め、とくに肥満を有する方には、積極的に使用をしています。
GLP-1受容体作動薬(膵臓のGLP-1受容体に結合し、血糖依存的にインスリン分泌促進作用を発揮:リベルサス®、オゼンピック®、マンジャロ®など)
SGLT2阻害薬と比べると、心臓に関する医学的根拠はまだ乏しいですが、一部の薬では心不全リスクを減少したという報告があります。
肥満があるなしに関わらず、糖尿病患者さんには、体重減少効果が期待できる薬です。SGLT2阻害薬とは異なり、食欲抑制作用があります。副作用として投与初期に下痢・便秘・嘔気などの胃腸障害がありますが、少量から開始することで予防できることが多いです。
リベルサス®は、内服薬で、起床後の空腹時にコップ半分程度の水と内服します。
オゼンピック®とマンジャロ®は、週に1度皮下注射する薬となります。最初の1-2回は当院にて、看護師の指導のもと注射して頂き、慣れればご自宅で注射して頂きます。
糖尿病・心不全・腎不全・肥満症でお悩みの方は、気軽にご相談ください。
写真は、夢前川のキンモクセイです。今年気づいたのですが、キンモクセイは花が咲く前から香りますね。
