• 2024年3月22日

高血圧の治療:ただ血圧を下げるだけの薬を飲みたいですか?それとも心臓や腎臓保護効果がある降圧薬を飲みたいですか?あなたはどっち?

開業してから早いもので半年が経過しました。最近では、“先生、ブログ読んでます!”という患者さんの言葉を聞くたびに、胸が痛んでおりました。そう、今年になってからブログの更新をさぼっているのです(笑)。すいません。

今日は循環器内科専門医として、高血圧症の治療薬のお話をします。

タイトルにあるように、あなたはどちらの薬を飲みたいと思いますか?私ならどうせ飲む必要がある薬なら、心臓や腎臓を守ってくれる薬を選びたいと思います。

当院には、他院からの転院希望の患者さんも多数来院されておりますが、お薬手帳を見て驚くことがしばしばあります。血圧が安定しているからでしょうが、長い年月の間(中には私が医者になる20年以上前から)おなじ薬を内服している方がおられます。

もちろん古き良き薬もあるのですが、医学は常に進歩しているので、昔から存在する降圧薬はただの血圧を下げる薬であり、心臓保護や腎臓の保護効果がない薬が多いのです。血圧を下げる最終的な目的は何でしょうか?

多くの方にとっては、将来的な動脈硬化疾患の予防が目的となるでしょうし、すでに心臓病や脳梗塞・脳出血・動脈瘤や大動脈解離・慢性腎臓病・下肢閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化疾患を発症した方にとっては、再発予防が目的となります。

糖尿病の患者さんの治療の目的が、血糖を下げるだけではなく、将来的な脳血管疾患の予防が最終的な目的であるのと同じですね。血糖値が下がったから、血圧が下がっているから現状の薬を漫然と続けていて良いということではないのです。

とくに降圧薬は心不全治療の重要な役割を担いますので、当院では心臓保護効果および腎臓保護効果のある降圧薬を積極的に処方しています。そのために定期的な心エコー図検査や血液検査を施行して、患者さんの病状に合ったお薬を選択しています。 数年前には新しいタイプの降圧薬および心不全治療薬(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI))(エンレスト®)が発売されました。高血圧症の治療に悩んでいる方は、気軽に相談して頂ければ幸いです。ではまた!

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